東京

東京に住むってやっぱり大変だなってたまに思う。

 

そもそも東京に出てきたのは、多少の憧れはあったかもしれないけど仕事を探すためだった。一度、学生時代に大阪に住んでいて都会と言うものを知ってしまったので、田舎の何も変わらない取り残された感覚に耐えられなかった。

 

都会にはお店もたくさんあって生活がとにかく便利だし、田舎の小さなコミュニティしか知らなかったからとにかく世界が広く見えた。

 

若さゆえの向こう見ずな勢いがなければ、知り合いもツテもない東京に出てくる事なんてできなかったと思う。

 

でも、東京で仕事を探そうと思ったら田舎じゃ実感したことの無かった学歴や身分みたいなもので冷徹にクラス分けされる。当たり前と言えばそうだけれど、何も持たない田舎の貧乏な家の子がパッと勢いで東京に出たからブラック企業にも食い物にされたし、根拠なく持っていた自分自身に対する自信や信頼みたいなものが音を立てて崩れてった。そう人たちも含めて大きなシステムとして成立してると思う。

 

でも、そこから何年か経ってとりあえず今は、本当に今だけは何とか暮らせているけれど、結局確固たるものなんて何もない、外を見ればすぐそこに生活に困った人がたくさんいて、明日は我が身。

 

昔はそれでも若さがあった、若いからどうにかなるってもんでもないけれど、まだもう一踏ん張り出来た。若さがなくなるっていうのは仕事ができなくなる、転職もどんどん難しくなるってことだから未来という自分に対して賭ける先が無くなる。

 

そんな一寸先は闇っていう恐怖を感じつつも、決して幸せでない親や兄弟に何にも出来ない自分が耐えられないと思う時がある。自分のことで精一杯で切り捨てていても、そうこうしてるうちに何にもしてあげられないまま時間だけが過ぎていく。

 

でも、お金があってもどうして良いかなんてもう分からなくなっちゃったよ。どうしたら幸せにしてあげられるのか、自分も幸せになれるのかが分からない。そばにいて暮らすことだって出来ないし、離れて暮らせば心が痛くなる。